今日は良書の紹介です。
民芸論の柳宗悦(ヤナギ ムネヨシ)が書いた『工芸の道』。民芸運動始まりの書と言われるこの本は、昭和2年の雑誌連載に始まり、昭和30年に初めて出版されたようです。
現代の避けようも無い資本主義、弱肉強食の世の中で、
著者の論の全てにうなずけるわけではありませんが、
『工芸』という言葉をそのまま『建築』もしくは『住宅』に置き換えて読み進むうち、柳 宗悦独自の美に対する見方、考え方が今日でも色あせていないばかりか、なおさらに新鮮に感じられます。
見るために造る美術の美と使うために造る工芸の美。
私が係わる住宅は実用に即した飾らない器でありたいとの
思いを強くします。
(以下、本文より引用)
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美よりも生活を救えよと人は云う、美は二義であると人は思う。だが生活が美に悖(もと)るなら、真の生活にも悖るのである。美は娯楽ではない。生活をして真の生活たらしめる大きな基礎である。
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掲載日:2006.08.19