大きく突き出た軒先は、夏の晴れた日には深い影を落とし、 厳しい夏の日差しを遮り、冬は低い日差しを 部屋の奥まで取り込みます。 雨の日に窓を明け、雨音を楽しむことができます。 軒先が生み出す暮らしの情緒は、少なくありません。
鎌倉時代の末期、吉田兼好という人が徒然草の中で 「住まいは夏を旨とすべし。」 と書いているのはあまりに有名。
言うまでもなく、「家は夏のすごし方を考えてつくるべき。」という意味ですが、 降水量の多い日本では、雨も無視できない要素です。 1年間で1mm以上の雨が降る日は神奈川県でも100日くらいあります。 つまり3日~4日に一度は雨の日です。 年間の降水量は熱帯地域とほぼかわりません。
敷地の広さ等、いろいろと制約のある中ですが、いかに雨の日に過ごしやすくするか、雨をいかに楽しくするかは、 日本の暮らしの大切なエッセンスです。
参考:「人生の教科書 家づくり:藤原和博著」
掲載日:2006.11.11